江戸の雑学

江戸の雑学

江戸探訪

ブランドだけが残った浅草海苔


・「東京を江戸の古地図で歩く本」 ロム・インターナショナル編(河出書房新社 514円)
 古地図をたずさえて町を歩く。近ごろはやりのウオーキングスタイルだそうだ。
 そこでうってつけなのが本書。たとえば明治神宮の森は、初め加藤清正の、ついで彦根藩井伊家の下屋敷になったところ。また紀尾井町や紀尾井坂といった地名は「紀州・尾張・井伊」の各大名家の頭一文字を合わせたもの。
 他方、粋筋の街として知られた神楽坂が花柳界となったのは明治以降と意外に遅い。それまでは岡場所といって一段低い非公認遊郭だったのだ。
 思わず笑うのは浅草海苔のエピソード。実は浅草で本当に海苔がとれたのは江戸幕府以前の天正年間まで。徳川家が江戸に移る際に町づくりのために大規模な埋め立て工事がおこなわれ、それ以来、浅草では海苔はとれなくなってしまったのだ。それでもブランドだけが残った、というのが妙に現代的でおかしい。
 またソバで有名な調布の深大寺は、ソバが有名になったために逆に寺も知られるようになったとか。気軽な散歩のお供によさそうだ。

・「江戸東京《奇想》徘徊記」 種村季弘著(朝日新聞社 700円)
 博識と巧みな観察眼に定評あるドイツ文学者の著者は、東京生まれの東京育ち。昔をしのび、深川、本所、亀戸、築地、根津、柴又をそぞろ歩く。どこへ行っても子どもの目に映った戦前の風景が重なり、そこに落語や文壇エピソードをちりばめ、江戸の薫りをいまにしのばせる。すっかり変貌した生家近くの池袋西口を歩きながら、桜並木に空襲体験を生々しく思い出す。昨今のノスタルジーブームとは一味違った、記憶の中の風景が行間から立ち上がる。

・「大江戸東京の歩き方」 東京観光財団著(ダイヤモンド社 2000円)
 東京を訪れる外国人をガイドする公認資格、「東京シティガイド検定」の公式テキストだ。「台東区立根岸小学校の前には××が祭られている」「東京の地場産業『東京切子』工場の8割は××に集中している」など、穴埋め例題はなかなか手ごわい。
 しかしさすが公式テキストだけあって近ごろの学校教科書同様、カラフルで写真が豊富な読みやすさ重視の仕上がりだ。あちこち拾い読みするだけでも江戸・東京雑学が身につくこと間違いなし。
タグ:雑学 江戸
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